Saturday, June 6, 2009

ベルギー離婚問題

先月の研究会以来、(学校の)「言語境界線」を越えてオランダ語のブリュッセル自由大学へ行っている。 もともとベルギーの教育での緊張要因は、フランス語とオランダ語の言語を巡る対立ではなく、カトリックと自由主義の対立だった。
 ルーヴァンカトリック大学(1425年設立)に対抗して、1834年にブリュッセル自由大学が設立された。

さらに言語対立のため大学も言語別に別れ、1968年にルーヴァンカトリック大学はフランス語部門が引っ越ししてフランス語(UCL: Université catholique de Louvain)とオランダ語(KUL: Katholieke Universiteit Leuven)に分裂。
翌69年にブリュッセル自由大学もフランス語(ULB: Université libre de Bruxelles)と、オランダ語(VUB: Vrije Universiteit Brussel)に分かれた。
・・・というわけで、ルーヴァンカトリック大学とブリュッセル自由大学はそれぞれフランス語とオランダ語の大学に分かれていて、セミナーなどは言語別なので海外の別の大学みたいな感じ。・・・最近はオランダ語とフランス語の間を行き来していて、 頭も混乱・・・。それぞれで研究相談したり、発表も2回した。
先月は、ベルギーのフランス語系大学共通のセミナーがリエージュ大学(ベルギー南部)であって、日本人アイデンティティーの構築について発表
     (→やっとセミナーも終わって、今年度は合計30単位認定。)
続いて今週は、オランダ語のブリュッセル自由大学の研究会でブリュッセルの言語教育政策についての発表。ここの先生に指導を受けたいけれど、伝統的カトリック&フランス語」自由主義&オランダ語」の大学離婚問題のため、難航している。
フランス語のブリュッセル自由大学に行って、ULBの先輩の公開口頭試問を聴いた。審査員の服装はガウンだけで少しカジュアル?ルーヴァンカトリック大学の時は、帽子つきの正装で、儀式的な雰囲気だった。帰りにUCLの先輩と、どっちの大学が大変か話した。自由大学の方が自由な研究が受け入れられるかも、とのこと。(?ほんとかは不明。)
言語別に見ると、フランス語とオランダ語の大学は違いがいろいろあって、離婚するのも無理はない思った。北部(オランダ語)や南部(フランス語)と違って、ブリュッセルには仏蘭両方の教育システムが別々に存在しているのでおもしろい

4 comments:

Unknown said...

ちこさんへ

暫く体調壊して、コメント遅れました。
大学の離婚騒ぎとは、難儀な話ですね。フランス語系の大学と、オランダ語系の大学と別れるというのでは、ヨーロッパ共同体の元々の理念に反するでしょうしね。

その後、欧州評議会の「外国語に関する共通参照枠」などの話も、すでに日本独文学会レベルで問題とされていることを知りました。手許の某大学紀要に、ふと見ると、ルクセンブルクを例に挙げて、多国語国家の言語政策を論じているものがありました。

ちこさんの立場から言うと、言語の問題よりも、民族の問題、つまり人間の問題が主眼と見受けられますので、EUが、昔の神聖ローマ帝国の二の舞であっては、空しい限りですね。

最近、ちと頭の纏まりがぼやけて来ました。そんな感じ。また練り直して、便りします。
いつも元気で、いい仕事をしてください。   義則

よしちこ said...

TENGUさま

コメント有り難うございます。
両親が離婚した子どもの気持ちで、最近フランス語とオランダ語の両方を行き来している状態です。(今日もオランダ語とフランス語の両方に行ってきました。)

欧州共通参照枠は外国語教育研究の場でよく議論されていますが、日本と欧州の社会・文化的背景、教育方法、学習者の動機など違いが多いので欧州の枠組みでは無理があると思います。これだけで博論が書けそうです…。

体調はもう回復されましたでしょうか。
季節の変わり目、ご自愛ください。

ミッフィー said...

よしちこ様

はじめまして。在ベルギー(フランダース)のミッフィーです。

私も過去にパリに住み、フランス語を習得しましたが、現在オランダ語圏出身のパートナーがいてオランダ語を学習しています。(オランダ語の発音、本当に難しいですよね。)

私もフランスもベルギーもそう変わらないようなイメージを抱いてこちらに来ました。そして、よしちこさんと同じようなフランス・ベルギー間の違いを実感しました。(ベルギーの方が物価が高い、ベルギー人の方が時間に几帳面etc..)

そして、よしちこさんも書かれている「離婚問題」には心を痛めています。ベルギー人の間のみならず、日本人同士の間にも、パートナーが蘭語圏出身か仏語圏出身かによって異なる価値観(物の見方?)が形成されていて、両者の間には溝があるように感じます。(もちろん、個人差はありますが。気にしすぎでしょうか。)

ちょうど、自分は不仲な両親を持った子供のようにどちらも好きで、どちらにつくこともできず悲しい・困ると思っていたので、同じ感覚をいだいている同胞を見つけた思いです。

それ以外にも、クリムト好きであることや、映画の話等々興味を持つ対象に重なる部分が多いです。一度に全部は書ききれないので、これからも引き続き来させていただきますね。

(ちなみに、日本の「うさこちゃん」=オランダ発祥の「ミッフィー」のオランダ語名がnijntje=ネーンチュというのはご存知でしたか?ミッフィーが「本名」だと思っていたので驚きました。)

よしちこ said...

ミッフィーさま、わぁ、コメント有難うございます!とっても嬉しいです。

ちなみに、私はミッフィーちゃんも大好きです。オランダ語名もなんだかかわいいですね。
フランダースだと日常でオランダ語が使えるのでうらやましいです。オランダ語母語の恋人がいればさらに動機も高まるだろうけど、特に必要性もないので挫折しそうになりつつなんとか続けている感じです。
(ブリュッセルはみなフランス語で、オランダ語を使っても通じなかったり、VUBでは英語やフランス語で話したり、なかなか使う機会がないです。)
超適当なブログですが、ぜひまたお越し下さい。