
オランダ語のVをカタカナ表記にすると「ヴ」か「フ」か。「ヴィンセント・ヴァンゴッホ」ではなく「フィンセント・ファン・ホッホ」であるべきなのだろうか。 「ヴァン・ゴッホ」だとすれば、フェルメールは「ヴェルメール」? なんだか変。
結論は、基本的にVは「ヴ」だが、ハ行を用いても問題ない。あえてハ行の多数派に合わせる必要もないということだった。
音声学的に考えると、オランダ語のVの音素は/v/で、発音は[v]だ。
ただ、時々無声化して[f]の発音となることがある。
ベルギービールの世界では、フランデレンで使用されるオランダ語のカタカナ表記として「ヴ」を採用。ベルギー・ビールJapanの地域別ベルギービール名のカタカナ表記によると、オランダ語のvは全て「ヴ」とされている。
「外国語の発音と表記の話」はvanは「ヴァン」と表記すべきだと主張する。(以下引用) 「オランダ語の入門書を見るとここでもvの音をあてていて、ただし「きわめてファンに近い」というコメントがある。v に近い f ではなく f に近い v なのだ。それでも根拠が薄いという人のためにBerlitzでのコメントを載せておこう。"v as in English, but often sounds like f." 」

つまり、辞書の発音表記が[v]でも、時には[v]と[f]の中間で発音されることがある為、Vの音全てをハ行やヴ行に統一すること自体が難しい。
全てのvが[f]と発音されないのに、安易にハ行にすることも問題がある。
ベルギー極右政党のVlaams Belangは、「ヴラームス・ベラング」! でも「フラームス・べラング」と呼ばれることもある。 新聞では普通、「ヴ」を使わないので「フ」にしているだけで、必ずしもv=フが正しいとは言えない。
「ヴァン・ゴッホ」、「フェルメール」、「ベートーヴェン」の表記については
「気になるカタカナ語」で同じ議論をしている方々がいた!
[v]を「フ」とするのは「ドイツ語流の発音」とのドイツ文学の先生のご意見。
「フェルメール」の表記に従えばvan Beetovenは「ファン・ベートーフェン」。
・・・と悩んでいるうちに、ゴッホのオランダ語発音を紹介するビデオを見つけた。
おもしろい~。これを聞いていると、Vincent van Gogh「ヴィンセント・ファン・ホーフ」が近いような気がする。すると、「ヴィンセント・ヴァン・ホーフ」か「フィンセント・ファン・ホーフ」が正しいことになる。調べると、90年代から「ヴィンセント・ヴァンゴッホ」の新聞表記は「フィンセント・ファン・ゴッホ」に変わり、今では後者が主流を占めている。「ゴッホ」を変えないなら「ヴ」もそのままでいいのに、なぜ「フ」?
・・・やはり、外国語をカタカナにするのは難しい。
*ビデオは、Keir Culter氏作、フェルメール「牛乳を注ぐ女」/ ゴッホ「 星月夜 」/ ブリューゲル「バベルの塔」/ ミュシャ「モナコ・モンテカルロ」の絵は、こちらから頂きました。有り難うございました。